免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か (ブルーバックス)
宮坂昌之、 定岡恵 著
この本は結構本格的な医療本です。
なので、内容がちょっと難しいところがありました。
治し方ではなく、炎症の仕組みについて解説している本です。
注目の文章
病原体などが体内に入りこみ、免疫系が刺激を受けると、からだを防御する白血球が侵入局所で刺激されてさまざまな物質を作るようになります。次に、これがアクセル役として働いて、白血球の中でも樹状細胞やリンパ球とよばれる特殊な細胞が活性化されて、免疫反応が広がり、病原体を殺す抗体や細胞が全身を巡るようになります。うまく病原体が撃退されると、免疫反応は次第に弱まり、からだは一見、元に戻ったように見えます。しかし、多くの場合、からだの中には免疫記憶が残り、二度目に同じ病原体が入って来た時にはすぐに撃退できるような新しい能力が備わるのです。ワクチンはこの原理を利用したものです。ワクチン接種や病原体侵入により引き起こされる免疫の活性化は永久的ではなく、次第に沈静化していきますが、これはからだの中にいわばブレーキとして働く分子や細胞があり、免疫反応を収束させるからです。
ワクチンの仕組みです。
「からだに異物が入ってくると、その刺激により、血管を広げるような物質や血管が漏れやすくなるような物質などが局所で作られる。このために、異物侵入部位では血管が拡張して血流が増えて組織が赤くなり、熱感を持つようになる。また、血管が漏れやすくなるために血液成分の一部が血管の外に漏れ、痛みをもたらす物質ができるために、組織が腫れて痛むようになる」
その異物とはなんなのだろう。
炎症が続くと、何が困るのでしょう? ひとつは、炎症の悪影響が局所にとどまらずに全身に広がっていくことです。これが「慢性炎症が万病のもと」となることにおおいに関係します。もうひとつは、炎症を起こしている組織の性状や形態が次第に変わり、ついにはその組織の機能が低下してくることです。
炎症が続くとその組織の機能が低下する。つまり、切除することになってしまう。
炎症性サイトカインは、さらに別の役割も持っています。たとえば、まわりの細胞に働いて、糖(グルコース) の取り込みを促進するホルモンであるインスリンに対する反応性を悪くします(つまり、インスリンの効き、働き方が悪くなるような状態を作り出します)。
血糖値のコントロールが低下します。
炎症が続いた組織では細胞が死に始め、そのために組織の微細構造が壊れ、そこに周囲の結合組織から線維成分が入り込んできて組織の柔軟性が失われ、硬くなります。これが線維化とよばれる現象です。つまり正常な細胞が次第に減って線維成分で置き換えられていってしまうのです。こうなると組織の機能は次第に低下し、元に戻りにくくなってしまいます。このようなことが肝臓で起こると肝硬変になります。肺胞(肺の中の小さな袋で、血液‐ガス交換の場所) の周囲で起こると肺線維症とよばれます。進行とともに肺機能が低下して息が苦しくなり、やがて呼吸不全とよばれる状態になります。腎臓で炎症が長期化すると、尿を濾過する装置である糸球体が壊れるとともにその周囲の間質で線維化が起こり、これとともに腎臓病が急速に悪化し、腎不全へとつながります。このように、炎症があまり長く続くと、臓器の機能が低下し始め、やがては大変な事態へとつながるのです。 線維化というのは、じつは傷ついた組織が回復する過程(創傷治癒) で生理的に見られるものです。傷ついた組織の間を線維が埋めて、傷が治りやすくする過程のひとつなのです。ところが炎症が慢性化すると、一時的に起こるはずの線維化が止まらなくなり、線維化が進み、その結果、組織が硬くなり柔軟性が失われ、その機能が低下してしまいます。これが慢性炎症で見られる組織の病的な線維化
線維化とは、けがした時のかさぶたみたいなものでしょうか。
急性炎症の場合には、多核球といって細胞の核が分かれていくつかつながっているように見える白血球、その中でも特に好中球とよばれる細胞が主に炎症巣に見られます(
好中球、顆粒球ともいいます。白血球像の検査をすると分かります。
炎症があると、この好中球の値が高くなります。
その他、難しい説明がいろいろとあります。
炎症に興味がある方は、読んでみてはいかがでしょうか?
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